12時間後

人体の代替パーツ丸太から削り出す腕静かに消える
孫を見る前歯の抜けた笑顔でも容赦なき攻め勝負は譲らず
最後まで文字読み続けたる父なりし積み重ねたる新聞の山
鉛筆で書き込みをした辞書2冊拡大鏡で見てる父をり
日々弱る僧帽弁にムチ打ちてモノ運びたるもの言わぬ父
酒飲みてふらつく帰りほつほつと身体の芯に凝るもの1つ
肉親を失ひて受く悲しみは心臓のうへ3センチ中
正月は吾のことのみを考へし父母にさへ顔ぞ見せざる
パキシルはうつの悲しみ負かしてもこの悲しみに効かざるものか
こはなんぞ胸郭の中きりきりと暴れをるもの心臓つかむ


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