More from: うた

むちゃな注文

友人が「夫の息吹」というフレーズを使って歌を詠みたい、というのですよ。 夫、が、気に入らない。 気に入らない、というのは、撥音が入っているから。 とはいえ、まぁ、「夫の息吹」で7音だから、三十一文字の3カ所に入れられる。 […]



なによりも手をつなぐ君の傍にゐて始まるものぞ吾の後半 足裏が君の膝にぞ当たりける秋の夜長のテレビ三昧 冷え性の君の足裏はさみつつ霜月の夜のあまあましきかな


2009年最後のうた

今ごろ、では、あるが、2009年は、散々な年だった。 散々な年は、この10年で何度かあったけれども、歳を重ねるたび、前の年が一番ひどかったように思える。 後半は、うた、すら、詠んでいない。 それでも、11月から、今年にか […]


そういえば

いくつか創っていた。 2009年5月20日青い空見ている僕も澄みきって鳥になりたいそう思う午後 中川公隆 に触発されて 青空に見られたるかな飛ぶ鳥のもの思ふらし羽ぞ欲しける 2009年5月5日去く人の姿かたちを重ねつつ暮 […]


飛蚊症

公園のベンチで横になりぬれば雲1つなし初夏の風吹くあを空の手前に焦点合わせれば煌めく点ぞランダムに飛ぶ煌めける光に混じる細胞のやうなものあり往にて戻りき濁りたる目にも空こそをかしけれ蒸し暑き風とろけつる脳無理矢理に前頭葉 […]


自選21首

とにかく、寝ても寝ても寝ても寝てもねても、眠くて眠くて眠くて、寝てばかり居る。幸い、念慮も企図もない。詠んだ歌を読み返して、暗くなる。心臓の上の肋間が痛い。これは、かつて、最初に就職した職場で味わったものと同じだ。明日は […]


その後

バスに乗り勝手知ったる道行けど変わらぬものを探しかねつる20年通ひし床屋久々に髭剃り頼み父の話しす仕事では細かく人に合わせしと父の噂を聞きて涙す全身をピンクで固めバス停で行き先告げし娘ぞ一人吾は多分かの父親と同世代たまら […]


48時間後

父のそば丑三時に目が覚めるい往たるかほ見しばし眠れず次々と昔のことを思ひ出し悔恨に吾押し潰さるる明け方に通夜堂抜けて逃げ去りてホテルの部屋で一人かもねむ絶え間なくマナーモードのケータイが痛む頭に責め込みにけり気がつけば1 […]


24・36時間後

のどやなか日差しの中に梅一輪知ることもなく父は往にけり障碍の足引きずりつ倒るまで自らせしむ父は往にけりすいすいと鏨走らせて寡黙なり誇りを秘めし父は往にけりイビキかき口半開き安らかないつもの寝顔で父は往にけり直接の死因欄に […]