ある人に出したメールから…

言わば、「生きるための気力」というものが無くて、代わりに死ぬための努力ばかり考えていました。そもそも食欲がありませんので食事をしない、食事をしないので排泄もあまりない、体力が落ちているので動く気がしない、背中が痛くても寝返りさえおっくうでした。
夜も眠れないことが多く、午前中の仕事はほとんど寝ないで出ていっていました。少しは心理学をやったことがありましたので、こいつはやばい、と思い、医者に行かなければ…と思いつつ、数ヶ月経っていました。やることなすこと、万事この調子で時間がかかり、物忘れもひどくなり、書類などをなくす始末。
秩序ある無秩序を保っていた研究室は、本当に無秩序になっています。
自宅も同じで、そもそも、掃除ができない。床に何かが散らかっていても、気にならなくなっていました。
同業者の友人には相談していたのですが、そもそも、電話に出るのがおっくうで、さらに人と話すのもつらくなっていました。
夜、仕事を終えてから九大北門のバス停に向かう途中でのこと。国道3号線を渡るために歩道橋があります。調子がいいときにはそのまま階段に向かって何も考えることなく進んでゆき、登っていけるのですが、最悪の時には、一瞬、そのまま歩道橋の階段のかげから3号線に飛び出そうか、と思うこともありました。楽に死ねるかなぁ…なんて思いながら。
鳴門で倒れたり、青森で倒れたり、恐らく、その前後に何らかの兆候が有ったのかもしれません。なんとか当時の仲間たちに助けられたりして軽く済んでいたようです。話によると、「自然治癒」するらしいですし、「波」もあるようですから。
そんなこんながあっても、一応、決められた仕事(会議や授業など)はなんとかこなせました。どうやら、周りに人がいる状態だと大丈夫なようでした。今思えば、頼まれた仕事(原稿の作成)の遅さも、このような事情があってのこと、だと思います(単なる言い訳かな…)。
6月の危機的状態から、約2ヶ月かかって、医者に行くことができました。
この医者に行く時もまたおもしろいんですよね(少なくとも私はおもしろかった)。
ちょうど、系の会議と教授会が終わったときだったのですが、その日もタクシーを使って通勤し、遅刻ギリギリで会議室に入っていったはずです。万事、時間がかかってしまうので。
頑張って発言するのですが、その後のテレ笑いや、となりのS谷先生との話が、妙に大きな声になってしまっているのに気づきました。どうも、声の抑制もきかなくなってきているように思えました。
会議が終わって、病院をインターネットタウンページで探し…どうもねぇ、同じ職場の心理の先生の所には恥ずかしくて行く気が無かったもので…さらに、職場と自宅の中間にあって、どちらからも行ける病院、こんなところを選んでいるところがまた哀しいなぁ。
電話をかけて、次の日の午前中、予約しておきました。
で、帰りがけ、その病院までの道筋を「予行演習」しちゃいました。さらに、前の晩、眠れないんですよ。何を話そうか、これまた「予行演習」しちゃって。
朝の5時過ぎにようやく寝て、10時過ぎに慌てて起きだし、シャワーを浴びたのですが…
…身体にお湯がかかっているのに、次に何をしなければならないのか、わからない状態になっていました。われながら、これはおもしろい、などとすぐにモニタリングしちゃうところなんざぁ、心理学をやったことのある人間として、なんか、哀しいですね。
私の話を聞いた医者は、「うつ病なのだけれど、それにしては、はっきりと話しますね」なんて言いやがって。
かなり、一生懸命に話しているのに、ふん。
それに、理路整然と話すのは、こちとらの商売でぃ!
と密かに思いました。
一応、薬を飲んで様子を見ることにしました。
カウンセリングの話も出ましたが、やはり薬ですよ、ク・ス・リ!
飲み始めて一週間、快調でしたねぇ。
もしかすると「カウンセリング」なんて屁の役にしかたたないのかもしれない、なんて思うようになりました。
こんなこと、すぐに授業のネタとして考えてしまうのですよ。「教育学入門」で学部の1年生に話してやろう、とワクワクしています。ふふふ。
ま、こんな状態でしたので、休職、あるいは、退職はかなり本気で考えていることだったのです(2001年度末、次の年度から休職しようと思い立ったのですが、その時の事務の担当官がちゃんと手続きを教えてくれなかったので、結局できなくなってしまったのですが)。
その後、学部長、研究院長に診断書を見せて話をしました。職場の何人かは知っているはずです。
今は、処方された薬がよく効く(自分に合う薬が見つかるまで3ヶ月ほどかかりました)ようで、なかなかよい調子です。これだけ長い文章も書けますし(論文はまだ自信がないですねぇ)。
つくづく、人間の脳というのは化学物質によってどうにでもなるものだなぁ、という実感を持って毎日を送っております。
まだ、調子には波があるようです。時々、大波が来ましてね。困っています。


Comments are closed