意に沿わぬ身体も動かぬもどかしさ憎らしくとも頼らざる得じ
妹の話をすれば押し黙る怒りの目こそ哀しかりけり
積もりたる父の机の書類には孫の写真の埋もれたるあり
四分の三の遺伝子持つ子ゆえ笑顔の写真も無視したる母
緊張をメイクでおほひ妹は機会失ひカーテンの陰
積年の恨みを込めた目ではなく狐狸に出会いし如き父
病室で賢き孫はすんなりと椅子に座りて大人しく聞く
見舞いたる女性は誰ぞ知りつつもとぼけたる父敢えて問ふ母
姉からの電話でしぶしぶ孫認め妹認める母ぞ哀しき
策士とは詐欺師に似たり父母と妹甥を騙しつる吾