2007年3月29日(木)

実家に行った。今日は、大学病院に母親が入院する日だ。
受付は9時40分まで。
8時50分ごろに実家到着。
母親は、髪がぼさぼさで長すぎること、洗髪していないこと、を気にしていた。
ヒゲバリカンを持っていって、耳の周り、襟足の髪の毛を適当に切ってあげた。
…看護師に洗髪と清拭をお願いしよう。
身動きがままならないので、風呂に入っていない。
太ももに湿疹ができていた。これも看護師に話しておこう。
9時過ぎに妹到着。
タクシーを呼んで、移動にかかる。
が、母親は動き難い。
靴を履いたのはいいが、立ち上がれない。
「抱えていこうか?」と、無謀だとは思ったが、言わざるを得なかった。
幸い、甲野善紀の本を読んでいたので、寝ている状態から半身を起こす動きは、あたしの身体にそんなに負担をかけずにできる。
運んでタクシーに乗せるのは、別だ。
高校時代にならったバーベルを持ち上げる動作、を思い出した。
大腿筋を使う、のである。
左膝を地面について右膝を立て、母親を抱えて、一度、右膝に母親の身体を乗せ…座らせて、脇の下と膝裏に手を添えて、スクワットと同じ要領で立ち上がる。
タクシーに乗せる時には、どうしても身体が前かがみになる。ちょっと腰に来た。
大学病院に着いてすぐ、妹に車いすを用意させ、タクシーから母親を抱き上げて下ろした。
今度も一度膝に乗せて…座らせて、立ち上がる。ふらついた。
小さな身体は、重かった。

入院してしまえば、看護師がなんとかしてくれる。
一安心だ。
そうなると、問題は、家に1人残された父親だ。
正直、父親も入院してくれれば、安心だ。看護師が何とかしてくれるからだ。

母親の診断はまだ始まらない。
昼、妹と実家に戻った。父親と一緒に無言の食事をした。
下手をすれば、ご飯とみそ汁しか食べなかったかもしれない。
薬もまた飲まなくなるかもしれない。

午後、妹と買い出しに出かける。
父親は食材にうるさい。
特定の食材しか食べない。まるでヒト以外の動物みたいだ。
…人間は雑食のはず、だから。
決めた魚屋の肴しか食べない。
その魚屋に行って、ブリ、タラ、シャケの切り身を買う。
野菜を買う。
妹に、煮物、焼き魚を作ってもらう。
食事の際に、つつけるものを作ってもらった。
その間、あたしは区役所に出かける。介護認定のための書類を作って提出してきた。

16時過ぎ、妹と大学病院に行く。
診察は本格的には行われていなかった。
診断名は、「パーキンソン病の疑い」だ。
来週、本格的に検査をするらしい。
入院予定は3週間と書かれていた。

母親は、病院に行く途中のタクシーの中、午後から訪ねた時、妹と盛んに話しをしている。
不安なのだろうな、と、思う。
数十年離れていたのに、すっかり、実の娘になっていた。
父親の入院に際しても、今回の母親の入院に際しても、妹がとても頑張ってくれている。
自分にだって、家庭はある、子どもたちの世話も必要だ。
姑との関係だってある。
あり難い。
両親と妹との関係を修復しておいて、本当に良かったと思う。

ふと、とんかつが旨い、と、母親が言い出した。
もちろん、自分が食べたいのだ。
食欲がある、ということは、この場合、唯一の救いだと思う。
妹にも食べさせたい、と、いう。
これは、あたしに「買ってやれ」ということだ、な。

病院を辞して、豚カツやに行く。
ロースカツ弁当、ひれカツ弁当を買う。
貧病でもあるあたしには、この位しかできない。
甥っ子達が喜んで食べてくれればいいな。
ひれカツ弁当は、あたしの分も買った。
久しぶりに、ひれカツを食す。
山下清が元帥に例えた豚カツだ。旨い。

ビールを飲んでから、マッサージをしてもらった。
これで良く眠れるかな。

Author: Kumecchi

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