うた

義理の父義理の息子に囲まれて静かに暮れる大晦日なり

軍鶏つぶし鍋に作りし義父と母静かに暮れる大晦日なり

紅白を途中で消して寝入る義父母静かに暮れる大晦日なり

たなびける雲の隙間の茜色高森町の元旦の朝

枯れ稲の棚田に残る雪白き高森町の元旦の朝

杉の木の黒き枝こそ照らしけれ高森町の元旦の朝

帰省した息子ぞ帰る我が春は残る写真とひとりの炬燵

友人が「夫の息吹」というフレーズを使って歌を詠みたい、というのですよ。

夫、が、気に入らない。
気に入らない、というのは、撥音が入っているから。
とはいえ、まぁ、「夫の息吹」で7音だから、三十一文字の3カ所に入れられる。
すんげぇ〜、機械的。
この家に夫の息吹なかりせば虚空をめぐるすきま風のみ
七七の部分に入れてみると...
独り寝の冷たき足を抱えけり夫の息吹あらまほしけれ
秋深し夜半の目覚めの月影にほのかににほふ夫の息吹
とか。
それなりに、ストーリーが見えてくる。
ちょーしこいて、前後に入れてみた。
譲り合い寄り添うことで改めて確認したり惑わずにゆく
この家に夫の息吹なかりせば虚空をめぐるすきま風のみ
幸あれと思わざれども君のゐる今日の吾こそ代え難きけれ
独り寝の冷たき足を抱えけり夫の息吹あらまほしけれ
生真面目に頑張りてゐる君をみゆ吾の前なら泣きてすむなり
秋深し夜半の目覚めの月影にほのかににほふ夫の息吹
君のかほカーテン越しに朝日さしきのふのことは忘れつるかな
ご満足いただけるでしょうかねぇ〜
ちびちびと、詠んでいた、歌、載せてみる、揺れる思ひぞ、驚かれぬる
いつもならタバコふかして歩きたるバス停からの300メートル
おかえりとタバコのにほひかすかなり寝苦しき部屋広すぎる部屋
独りなら熱き目頭押さえたり思ふ人あれ輝ける吾
免許証の写真なれども君なれば熱き心地ぞあふれこしつる
あふことの不安をつつみチャットする文字打つたびに揺れる君なり
2010年夏
なによりも手をつなぐ君の傍にゐて始まるものぞ吾の後半
足裏が君の膝にぞ当たりける秋の夜長のテレビ三昧
冷え性の君の足裏はさみつつ霜月の夜のあまあましきかな

今ごろ、では、あるが、2009年は、散々な年だった。

散々な年は、この10年で何度かあったけれども、歳を重ねるたび、前の年が一番ひどかったように思える。
後半は、うた、すら、詠んでいない。
それでも、11月から、今年にかけて、詠んでいたのが...
ケータイの待ち受けのきみ微笑みてうつし心も薄れ解けけり
待ち受けの笑顔のきみをふところに東の空の赤星眺む
待ち受けの笑顔のきみの目尻にはすまなさうなるほくろがひとつ
待ち受けにゐるきみ見つめられてをり想ひめぐらすクリスマス前
待ち合いの君はひだりを向きにけり左の肩のほくろおもほゆ
きみからの返信のないケータイを抱きしめ暮れる24日
蕎麦すする大つごもりの夜はふけて待ち受けのきみ笑みぞかなしき

いくつか創っていた。

2009年5月20日
青い空見ている僕も澄みきって鳥になりたいそう思う午後 中川公隆 に触発されて
青空に見られたるかな飛ぶ鳥のもの思ふらし羽ぞ欲しける


2009年5月5日
去く人の姿かたちを重ねつつ暮らし重ねむ去く身であれば Aさん への返歌
作業場に気高く立てるボール盤往にたる父ぞものつくりける
ボール盤1つ残りし作業台血のにほひしつ懐かしきかな
万力ふたつ取り外したる作業台幼き日々の不確かなりき
鑿鋏使いてもよし在りし場に戻せといひて黙りたる父
作業場を片づけたれば思ひ出も消え去りにける連休中日


父親の49日に詠める
2009年3月27日...かの人の三回忌は既に過ぎていた
知識とふ仮想遺伝子伝へたる彼の人往きて三回忌なり
庭先の梅さへ遺伝子残したり仮想なりとて残せましかば

父親の49日に詠める
2009年3月13日
義手義足往にたる父ぞつくりけり評判聞きて吾のつくり比す
職人の往にたる父のつくりしはメンテナンスも込みの品なり


2009年2月24日
かなしくてないてしまうも涙さえ出ない吾あり引きつる身体


2009年2月20日
いくつかのしなきゃならねぇことどもが並列配置また横になる


2009年2月17日
我れあるはサーバたちのおかげなり廃棄機械のメモリー外す
歩道橋階段昇る下肢重く飛び降りる気になれぬ春の日
曇天にちょびっと欠けた月天心市営団地の庭に梅咲く
企図なんぞ許すまじとふ人々のをりたる幸を感ぜざる午後


2009年2月14日
目の中に入れたとしても痛からず父の思いや知らざる吾妹

公園のベンチで横になりぬれば雲1つなし初夏の風吹く
あを空の手前に焦点合わせれば煌めく点ぞランダムに飛ぶ
煌めける光に混じる細胞のやうなものあり往にて戻りき
濁りたる目にも空こそをかしけれ蒸し暑き風とろけつる脳
無理矢理に前頭葉で疲れしと納めたるこそものぐるほしけれ<

とにかく、寝ても寝ても寝ても寝てもねても、眠くて眠くて眠くて、寝てばかり居る。
幸い、念慮も企図もない。
詠んだ歌を読み返して、暗くなる。
心臓の上の肋間が痛い。これは、かつて、最初に就職した職場で味わったものと同じだ。
明日は木曜日、医者に行ってみよう。

「父は往にけり」を繰り返して使う、というのは、遊び、だね。歌を1首詠むと、もう1つできることがある。偶数よりは奇数にしたいので、もう1首作る。うつうつしながらでも、そんなことを考えている。
そんなことをしても、...忘れられないんだけど、さ。
で、4首創っちまうと、もう1首ひねり出して5首にする。
「父は往にけり」は、5首にした。6首目は言い方を変えてつながりを創ってみたりして。
何人かの友人にこれを送ってみた。社会人院生のSさんは返歌を送ってくださった。S谷先生は号泣したと誉めてくれた。

映画を観ても、ドラマを見ても、筋を追うことができない。集中できない自分に苛立つ。
寝入りばなに、パキシル服用停止に伴う副作用の1つの耳鳴りがしたりする。
ちゃんとパキシルは服用しているのに。
効いていない、ということかも。
セロトニン、ちゃんと出てくれ〜



人体の代替パーツ丸太から削り出す腕静かに消える
日々弱る僧帽弁にムチ打ちてモノ運びたるもの言わぬ父
酒飲みてふらつく帰りほつほつと身体の芯に凝るもの1つ
肉親を失ひて受く悲しみは心臓のうへ3センチ中
のどやなか日差しの中に梅一輪知ることもなく父は往にけり
障碍の足引きずりつ倒るまで自らせしむ父は往にけり
すいすいと鏨走らせて寡黙なり誇りを秘めし父は往にけり
イビキかき口半開き安らかないつもの寝顔で父は往にけり
直接の死因欄には癌とあり多臓器不全ぞ父は往にける
ちんまりと箱に納まり笑み浮かべ往にたる父のかほはつめたし
父のそば丑三時に目が覚める往にたるかほ見しばし眠れず
次々と昔のことを思ひ出し悔恨に吾押し潰さるる
明け方に通夜堂抜けて逃げ去りてホテルの部屋で一人かもねむ
絶え間なくマナーモードのケータイが痛む頭に責め込みにけり
気がつけば12時間が経過して式終はりたり情けなき吾
妹の電話を受けしその日より積もりたるモノ吾を眠らさず
心臓のうへ3センチ中ほどに痛みに似たるモノ膨張す
哀しみと名付けてみても余りたり太刀打ちできず飛び起きにけり
音楽も癒しざりけりギリギリと肋骨を押しぶちきらる夜
妹も母にもかのモノありたるか眠剤なくていかに眠らむ
眠剤も効かず眠れず朝が来てとうとう今日は初七日なりき

バスに乗り勝手知ったる道行けど変わらぬものを探しかねつる
20年通ひし床屋久々に髭剃り頼み父の話しす
仕事では細かく人に合わせしと父の噂を聞きて涙す
全身をピンクで固めバス停で行き先告げし娘ぞ一人
吾は多分かの父親と同世代たまらず共にバスに乗りたり
吾の父にかなわぬまでも人助け寄り道しての道案内
毎夜聴くノラ・ジョーンズも心臓の鼓動に負けし眠気を呼ばす
妹の電話を受けしその日より積もりたるモノ吾を眠らさず
心臓のうへ3センチ中ほどに痛みに似たるモノ膨張す
哀しみと名付けてみても余りたり太刀打ちできず飛び起きにけり
音楽も癒しざりけりギリギリと肋骨を押しぶちきらる夜
妹も母にもかのモノ有りたるか眠剤無くていかに眠らむ
眠剤も効かず眠れず朝が来てとうとう今日は初七日なりき

父のそば丑三時に目が覚めるい往たるかほ見しばし眠れず
次々と昔のことを思ひ出し悔恨に吾押し潰さるる
明け方に通夜堂抜けて逃げ去りてホテルの部屋で一人かもねむ
絶え間なくマナーモードのケータイが痛む頭に責め込みにけり
気がつけば12時間が経過して式終はりたり情けなき吾

...ほんと、情けない...

のどやなか日差しの中に梅一輪知ることもなく父は往にけり
障碍の足引きずりつ倒るまで自らせしむ父は往にけり
すいすいと鏨走らせて寡黙なり誇りを秘めし父は往にけり
イビキかき口半開き安らかないつもの寝顔で父は往にけり
直接の死因欄には癌とあり多臓器不全ぞ父は往にける
ちんまりと箱に納まり笑み浮かべ往にたる父のかほはつめたし
吾の父の訃報聞きたる人々は何とはなしに他人行儀
間接に聞きし吾さへきつければ直面したる母妹は如何
お互ひに目を合わせたくなし残された家族3人雑魚寝する通夜

人体の代替パーツ丸太から削り出す腕静かに消える
孫を見る前歯の抜けた笑顔でも容赦なき攻め勝負は譲らず
最後まで文字読み続けたる父なりし積み重ねたる新聞の山
鉛筆で書き込みをした辞書2冊拡大鏡で見てる父をり
日々弱る僧帽弁にムチ打ちてモノ運びたるもの言わぬ父
酒飲みてふらつく帰りほつほつと身体の芯に凝るもの1つ
肉親を失ひて受く悲しみは心臓のうへ3センチ中
正月は吾のことのみを考へし父母にさへ顔ぞ見せざる
パキシルはうつの悲しみ負かしてもこの悲しみに効かざるものか
こはなんぞ胸郭の中きりきりと暴れをるもの心臓つかむ

死を思ひ思ひ直して経回りきまだ前頭葉が静止せしむる
居酒屋の大将の顔ママの顔思ひ浮かべて企図止めるなり
浮かぶ顔家族仲間と指導生そは願ひのみ気配すらなし
かじかんだ手を握りしめキーボードひたすら叩きインストールす
吾死すと困るはずなりまずこれを仕上げざらねば誰ぞ仕上げむ
さりながら誰も困らぬことも知る企図忘る法思ひつかざり
寝入りばな考へてしまう死する吾考へるだに悲しくなりき
うとうとと枕ぬらしつ死ぬる法思ひし吾を止める吾あり
酒を飲み煙草吸ひたりしびれつつ消へぬ思ひに身体狂わす
葉巻吸い気分悪くし横になる胃の痛みにて企図忘れたし

入退院繰り返しつつ生き延びる父に呆れつ祝ひ酒呑む
ただじっと服薬もせず一日を過ごす父親企図せざりしか
脳内の伝達物質出にくい母遺伝なりしか吾もまた同じ
入浴も片付けもせず一日を暮らす父なり吾に似てゐる
悲しみは酒も煙草も消しはせずただいたずらに層なす痛み

頭よりはるかにデカい補虫網振り回されてカナブン一匹
ビルの上赤星ひとつ望月は笠をかぶりて蒸し暑き夜
西日浴び紫煙の先を眺めつつ今日も生きてた不思議を思ふ
自らに対する認知狂ひをり疲れを知らずひたすら眠る
疲れだと前頭葉は認むるも直ぐ義理義務が上書きせしむ
親しげな電子のカード届きたり歳をとこなる咳しつる吾
クマゼミが鳴き終わりたり強烈な西日の中にひそむ秋風

止まりつつ素直に流るるメッセージ達成感ぞmakeされける
PPの小さな文字に意見する誰であろうと怖いもの無し
プレゼンで読めない文字は密やかに見せたくないといふことなりや
早々とうつとの共存選択す闘う気力とうに失せたり
だらだらとその日に思ふことをする生きる目的すら探せずに
父母や妹すらも思えずば天涯孤独といふ傲慢
酒無しで何もできない事ばかり認知の狂ひ自覚せるなり
狂ひたる認知が故の怖いもの無し自滅するのは嫌ひなれども
企図せども死体の始末考へる一筋残る知識構造
約束を違へてもなほ付いてくる指導生のみ心残りなる

configとmakeの吐き出す文字列を1日眺めて達成感なし
syslogとmailのlogがあふれ出すterminalが反射する顔
ググっても解決策さえ見つからず吾の専門ではないんだぜ
親分は大勘違い専門の立場を生かした助言とは何?
誤解解く努力もできずひたすらに試行錯誤の週末が過ぐ
うつうつとニコチン頼りて試行する錯誤の果てぞ飲酒となりし
自らに課した目標高過ぎし百も承知で挑みつ果てし
エシラスは文科省へのアリバイと割り切ることぞできるはず無き
日々作るアルゴル系のプログラム自己満足の極みなれども
中級のエンジニアだと思ひたし部品創ってなんぼの仕事
部品ども自作ながらもそれなりに組み合わせればシステムなりき
作品となりたる吾のシステムを捨てる部所有り事情も知らず
事情などわかるはずなし継ぎはぎをしても動かす技ぞ持ちける
吾が脳も継ぎはぎをしてほしきもの酒のチカラでやっと動けり
捨てられて大きく欠ける吾が左脳夜明けの月も霞む六月
1日に10万単位の行を読むErrorに怯えwarningは無視
知らぬ間に積み重なりきwarningコマンドすらも受け付けぬ彼
不規則を我慢はできず正確な機械にのめり打ち込める吾
サーバは機械のくせに生意気に個性持ちたりなんでだろなぁ
通院もままならぬままパキシルが切れし副作用慣れるものなり

水銀が蟲になりたり
全身の皮の真下に躍り蠢く

銀色のひょろながきもの
皮膚破り間抜けな顔で眺むるはたそ

ブチプチと皮膚を破りし
間抜け顔恐怖は蟲の数のN乗

背中にも蟲は這いたり
まずは腕
爪折れるまで掻き出しにけり

天井に巨大スライム居座りて水銀垂らす
ヌメる赤爪

ひと叢のほの紫のニワセキショウ
取り囲みたるアレルゲンども

人前で
張り切っている
吾がゐて
へにょへにょになる
吾をとぢ込む

...へにょへにょの吾を知りたる人はなくますますちぢむへにょへにょの吾

ガラム吸い
缶ビール開け
借り受けし
今日の元気は
3倍還し

景気付け猪口一杯のアルコール連続飲酒に代わりたる秋

呑んで寝て食欲はなしまた呑んで紫煙の先に漂へる蟲

酔ふことも
足ることもなく
呑む酒で
充つこともなく
ヒトを離れる

老父母の
口癖しみる
玄関は
ゆるゆるとした
時間が流る

両脇の
女性の頭
二の腕に
ビミョーに触れき
セクハラならむ

...だって,そう思ったんだもん

故郷の街彷徨ひて知りたくも知られたくもなし上げられぬかほ

故郷の街見つめ来る中年の顔知りたるや頼りなき脳

それぞれに道極めたるはずなりし幼きままのかほ浮かぶのみ


...酔っぱらってました

それぞれに咲き誇りたる花びらの死骸の山の雨上がりなり
それぞれに雄蕊雌蕊を延ばしたるツツジサツキの花揺れる午後

オリオン座
雲に霞んだ
上弦の
月に照らされ
光る白梅

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なんともミスマッチだな。

晦の明け方に見た幻覚は友がすりより尻押しささやく
金縛り友とかすかに思ふのみ誰とも知れず過去悔いるなり
無いはずの襖が開いて人ぞ来る布団剥がされ寒さで起きる
襖開き見知らぬ3人見下ろしつ何ぞいひたき哀しげなかほ
幻覚とひたすら叫ぶ知識あり睡眠薬かアルコールかも
電機屋で
独り言いふ
吾を見たり
待合室の
隣人のごと

週末の
都心の空に
あかあかと
火星が一つ
吾を見つめをり

頑張れと
すでに誰もが
言わざりし
踏張ってしまう
吾が前頭葉

川べりで背を競いたるイネ科ども花風にゆれ銀に輝く

喫煙を
しようとしても
火を点ける
タバコの先も
見えざるよはい

太棹の
三味の音響く
下通り
肥後の国にて
津軽を聴けり
副作用無しと言はれしパキシルは服用停止で暴れまくれり
処方せん持って走りしすぐにでも服用したし輝ける薬
体内の濃度高まるその日まで続く闘い萎える身体
催促がネット介して押し寄せりただひたすらに丸くなるのみ
空腹も尿意も痛みも我慢しつ毛布抱えて縮まる昼間
闘いは企図せぬことと副作用我慢我慢で数日過ぎる

眠れずばカップ麺食べビール呑み
ラボナ流して妙な夢見る

譫妄を見ている夢を見る吾は
幻なるか妄想なるか
吾が中の誰が叩くや張りぼての鐘の音こそ尾骶打ちけり
あちこちの空洞たちが鳴動すぼわんぼわんと吾を攻め来る

眠剤に抗ヒスタミン剤混ぜし
フラツキが
夜来ましかば昼ぞよからまし

歩くたび電気ショックが駆け巡る
通院できず過ぎし4日目

酒呑みて
何も変わらず
喫煙す
何も変わらず
ただ丸くなる

眠剤に抵抗しつつサーバーのクラスター見るまだ25億あり
真夜中にサーバーたちのご機嫌を伺いながら会議は気になる
結局は終わった頃に起き出したり誰にも知られずサーバーは動く
知らぬ間に欠席裁判として拝命す委員会には出られざりけり
これだけは守り抜きたき授業さえろれつ回らず沈みゆく吾

園児らが帰りつく頃出かけしが夕日に月に送り出さるる

曇天に
朧にひとつ
月の在り
夜半の散歩は
犬に吠えらる

1割の月かたぶきし
雲の間に
残照をおひ
かなしからずや

ゆふぐれに雨粒ぼつり落つベンチ指に近づく炎のみ見ゆ

全身をアリシン臭で包まれてなおダルダルの吾ぞ悲しき

葉あいからひとひら散りし花びらをしばし眺めて吾を忘れむ

かほのいろは
うつりにけりな
ニコチンに
わが身任せて
ふかしせし間に

人知れず散りし桜や居待ち月しがみつく吾ねなき春かな

耽溺の極みと斜めに居直りつビール泡盛タバコをふかす
泡盛で勢いをつけ喫煙す四合瓶空く惰眠の日々

うつうつと馬齢重ねて無力なり紫煙の先ににじむ父母

桜咲き吾が人生を悔やみをり足首つかむ老いた父母

ホテルにて訃報聞きたり窓を開けオリオン探す憎き月影
教室で頷きたる吾吾だけに話しかけたる師ぞ楽しげなれ
教室で皮肉たっぷり吼えてみる所詮真似しかできぬ吾おり
みちのくのホテル窓開け禁破り一服しても沈みわだかまる
死してなほスクールといふなにものか吾のどこかに残りつ燃ゆれ

高き雲低き雲ともそれぞれに流れ行く秋霞みゆく吾
吾ひとり雲散霧消を希求する引き止める吾負けそうな吾

貧病が身にしみる秋遠隔で孝行するのも金次第かな

気がつけば夜は白々と既に明け吸殻山に気力埋もれし

咳しても咳止め飲みてヤニ色の痰を吐きつつ魔王の奴隷

意に沿わぬ身体も動かぬもどかしさ憎らしくとも頼らざる得じ
妹の話をすれば押し黙る怒りの目こそ哀しかりけり
積もりたる父の机の書類には孫の写真の埋もれたるあり
四分の三の遺伝子持つ子ゆえ笑顔の写真も無視したる母
緊張をメイクでおほひ妹は機会失ひカーテンの陰
積年の恨みを込めた目ではなく狐狸に出会いし如き父
病室で賢き孫はすんなりと椅子に座りて大人しく聞く
見舞いたる女性は誰ぞ知りつつもとぼけたる父敢えて問ふ母
姉からの電話でしぶしぶ孫認め妹認める母ぞ哀しき
策士とは詐欺師に似たり父母と妹甥を騙しつる吾

連休にゼイゼイ音を聞きながらちらつく入院打ち消しし吾
楽しげな団体客に囲まれて旅先思ひベンチにポツリ
生クジラ戻り鰹に鱈白子田酒1合忘れたき明日
過去の歌読み返したり吾の思い節目節目に繰り返しけり
ゆるゆると母の手を引き父の部屋長き廊下のまたその先の

ニコチンがどろりどろりと浮遊する脳漿の中とろけゆく脳

気がつけばもう一箱が空いており咳止めを飲みまた喫煙す

オリオンの三つ星縦に並びつる夜半の寒さに人思ふ吾
コンビニの帰りに眺むオリオン座夜半の寒さと煙草の煙
電線の間に見ゆるオリオンの三つ星霞みニコチンに酔ふ

街灯が揺れる水面吸い殻を一つ残して一曲終わる

外に出て眼鏡の曇る真夏日のボディブローに脂汗うく

真夏日に自転車をこぐ子ども等はもの思ひしか倒れそうな吾
...失礼やヤツだな、つくづく、あたしは

ひたすらに風送りたる扇風機首振る音の鼾に聞こゆ

ジージーとちから尽きたかほの暗い水面を動く音の消えゆく

雨上がり木々に啼く蝉浜風の肌に冷たく文月の終わる

ランダムに滑って止まり跳ね停まるさざ波に揺れ戻さるる蟲

水を裂き波紋を壊しゆらゆらとそは縄張りを持たぬものかは

鑑賞文をお送りいただいた。高専の国語の授業を観て詠めるで、7首をお送りした高専の国語の先生からだ。何しろ、書評のプロ、である。

「水面」の二首に寄せて
水面の小ひさき波紋泡をなし喘ぎたる魚術知らぬ吾
残照がやはらかにさす水面と木々から雲へ乱るる蜻蛉
 この二首には、「水面」に投影された「吾」の心象風景が詠み込まれている。これらを連作として読んでみたい。
 一首目の「水面」は、小さく揺れている。水中に生きる魚であるはずなのに、今はどうだ、水面から姿を現わして喘いでいるではないか。それを眼前にする「吾」の心はとたんに苦しくなるが、なす術はない。魚に対しても、そして自分自身に対しても。下の句は、「魚」と「吾」の重なりが「波紋」と同調して動的に表現されており、巧みである。
 やがて魚は水中へと帰っていき、「水面」の波紋もおさまっていく。「吾」の思索の時間がゆるやかに流れていき、揺れていた「吾」の心もやがて風景の一部となって落ち着いていくのだった。
 二首目の「水面」は静かである。残照は、「水面」をなだめるかのように「やはらか」でやさしい。この光によって、疲労を体に残したままではあるが、「吾」の心は癒されていく。時が佇んだかのような静謐な夕暮れの風景だ。だが、ふと仰ぐと蜻蛉が乱れ飛んでいるのが「吾」には見えるのだった。人によっては、ただ美しい風景かもしれないが、ようやく整えることのできた「吾」の心には、小さな波紋が再来するのであった。
 魚が「喘ぎたる」のも、蜻蛉が「乱るる」のも、それは「吾」の生物への感情移入によった表現であろう。「吾」の小さき生物へのまなざしはとても優しい。そんな優しく傷つきやすい歌詠みの心の「水面」は、日常の喧噪によって幾度も「波紋」におそわれる。時に自然の風物に癒されつつも、完治することのない深い傷は、その度に疼きだすのである。
 人々は程度の差こそあれ、誰しも「波紋」と折り合いをつけながら毎日を過ごしている。けれども繊細な感性を持つ人にとっては、うまく遣り過ごせないことの方が多い。葛藤は言葉に置き換えられ、定型におさめられて、外部へと押し出されていく。そして傷みや感動を共有できる読者を得ることで、それは「歌」として自立するのだ。

残照がやはらかにさす水面と木々から雲へ乱るる蜻蛉

水面の小ひさき波紋泡をなし喘ぎたる魚術知らぬ吾

ビデオにて古文読み解く子らを見る常ならざるや私語の少なき
ズボン脱ぎ熱日に耐へつ黙々と課題解けしや楽しかりしや
次々と前の時間の要点を発する子らぞ主人公なり
古文読み意味ぞ知りたき子らが増ゆ鑑賞文へ一歩近づく
苦慮しつつ自分の言葉捻り出すそはすばらしき気付きつる子ら
大声を張り上げずとも子らを御す御された振りも子らの智慧なり
百倍の時間をかけて創りたる授業の意味を子らや知らなむ*

同僚の母堂の訃報吾の母もPDなるぞ未来の重き

ゼミといふ閉空間のやりとりに吾の動悸を知りたるぞなき

ワイシャツで上着抱へて昼歩く冷房に耐ふ長袖なりき

ダラダラと蒸し暑くなり草深く博多の初夏や終わりたるらし

花粉症鼻粘膜にヤニ被せ緩慢な死と引き替えにする(8日 11:09:39)
花粉症鼻粘膜にヤニ被せくしゃみ抑えて依存と死を待つ(8日 11:18:26)
...どっちが、いいかな。

青空と白い半月ランダムに音なく輝り飛ぶものおかし

水面から首出し泳ぐ亀二匹歩きタバコを睨み咎めし

緑から次第に黒くなる水面紫煙の先で魚の跳ねたり

演舞場舞台に並ぶ志の輔を一番上手いと誉める家元<

中年の鬱は脳超え肝臓と降圧剤の調整になる

内科なら酒とタバコは怒りて即禁悩み困りし精神科医は

蝙や蜻蛉飛ぶ池餌となる虫も豊富に飛ぶものなるべし

それなりに人は抱えしそれぞれの病気も吾の人格となり

朝五本夕方十五急速にニコ中目指してまっしぐらかな

心臓が胸郭肋骨突き破り往っちまいたい初夏の午後過ぐ

ニコチンの興奮だけが沈殿し沈静の浮く脳漿なりき

どろどろのニコチン浸けの脳漿が切れたシナプス無理矢理繋ぐ

学生を十人連れて父親気分翌日ぐったり学生あたり

ただ座りうなずくだけの会議でも前の晩から押し寄せし圧

喫煙所捜し求めつヤニ色の人差し指は鼻こするふり

裏門に吸殻の浮く缶のあり少年野球の小学校の

静かなる逆白波に跳ねる魚釣り人もなく鷺もない午後

青空に花びらもなく咲き乱るムズがる鼻は涙に暮れる

四捨五入すれば五十路に近づけりますます尖るオヤジなるかな

四十路過ぎ覚えたタパコくわえつつ燻る煙に見えない明日

四十半ば敢えて覚えた煙り草緩慢な死へ転びまろびつ

次々と日程表をうめながらこの日はわたしの誕生日かも

隅々に積み上がりたるモノどものケモノ道行くトイレの遠き

霞み立ちやはらかな風春の空くしゃみ連続涙に暮れる
同僚の悪口を聞く明日の吾が身を思へども弁解なせぬ
病院の待合の隅ちぢこまるあの人の目に映る吾見ゆ
地に落ちしパキシルを見る念ずるは胃酸勝つべし拾いて飲まむ
んー、あー、と考へながら手が顎へ談志の口調になってゐる吾
サーバーの脳漿までも腐敗して研究室をどろどろにする 休呆

ふか川のモツとアリシンとろとろと脳漿に充ち腐敗とどめき*
うつうつと越すに越されぬ壁ならば波に乗りても生きるものかは**
どつぷりと首までつかるうつならばせめて溺れじ藁探すべし<

もう駄目と云いつつ生きる七十の談志のらくだリアリティ満つ
泡盛で眠剤2つ流し込む酔いきれずなお缶ビール開く
リハビリと呼ぶ拷問にじわじわと股が裂かれる金を取られる
体幹の奥に張りたる一本の筋の慟哭腰にこだます
脳漿の魔物がちまちま紡ぎ出す論理頼りの危うい余命
脳漿に潜む魔物がプチプチとシナプスを切り繭を作りぬ
学習の可能性すら失いつヒト属からも遠ざかる吾
電線に区切られし空紅に都会の明日に続き暮れゆく
泥棒かただの粗忽か札入れがまた見つからず萎びゆく脳
宛名書き封筒詰めに切手貼り達成感も薄く積まれし
少しずつ理屈連ねたメール書く普通の人に戻れる予感
冷湿布操体法にセンネン灸磁石を貼って医者嫌い行く
クィーッカッカッハードディスクが泣いている指突っ込んで掻き混ぜたろか
九台のサーバーたちがそれぞれにあげる悲鳴が頭蓋を叩く
足先に落ちる雫は網膜にただ映るのみまた座り込む
身震いがこの世に吾を引き戻す足先に落つ雫見つめし
浴室に体育座り流れ落つぬるいシャワーと現実感と
泡盛を猪口一つ分ひっかけて出て行く吾を咎めたき吾
いかんともし難い時は丸まって談志演じし左平次www.amazon.co.jpを観る
秋立ちてガガンボの舞うかんぽの湯空に月こそゆかしかりしか

盂蘭盆の市営団地のベランダの物干し竿に揺れる提灯

食う歩く動く源酒ぢから花も月陽もカーテンの先

激痩せの後にドカ食いしてもなお目盛変わらず下腹ぞ出る

人混みの中ただよいつ追い越せず離れぬ吾や変質者たる

ひたひたと勤めに急ぐ人中に交じりて歩む吾ぞ思はじ
わらわらと歩く人々車窓から眺める吾は境に立ちぬ
腸骨の痛み空腹尿意さえ些末に思え側臥し続く

まず2000医者の指示にて歩めども悲鳴を上げる筋肉と骨

冷房が肘にじわじわ襲い来るエコでも凍みる激痩せの夏

盆だから早めに帰ると書かれたる文字の陰なる笑みや乾きし
音も無く頭落ちけりしっかりと動く手足を止めたる吐き気
貧乏は嫌と綴りし父の日記物を思わぬ彼の時の吾
喜々として看病してる母を見る最後の機会と思う中年
失せ物を一つ一つと買いなおし存在すらも治る錯覚
靴下も万年筆も札入れも見つけられない春まだ遠し
眠剤の1mg爆睡と不眠を分けるケミカルな脳
押し寄せる本務と雑務結局は今しなくてもよいことをする
体調が気分が悪いすぐれない前頭葉が認知し始む
一日に一つのことしかできない布団の中で半日が行く
もみあげと無精髭にも白いもの父のあの日が思われる朝

気がつけばヌルヌルとした爪の先なおコッコッと瘡蓋の誘い

勇猛にハードディスクに挑む足てんてんとした黒い血の跡
検診も医者に行くにもまず起きる生活リズムが前提になる
見渡せば土手一面の春の色アレルゲンでも美しきかな
悲しいと書きその文字列を見るたびにズレていくそれ心臓の上
言いようのない感情を医学書はとぢこめてゐる巧妙な技
悲しいとひとまず綴り凍りつく焦燥感が自己主張する
悲しいと綴る違和感医学書の記述に余るそれの実態
悲しいと強いて書くしかないんだなじっとしてても涙が落ちる
夕暮れにいつもと同じ歩道橋車道に出たら楽になるかな
途切れなく車が通るふと思う出てみようかな何かかわるかな
見渡せば思い出せないモノばかり踏んづけ転びスーツに着替え
とりあえずコンピュータに向かう朝これだけはやるが続いて夜
パキシルか安定剤かコンピュータ歩く姿勢をひそかに変える
のろのろと地面が動く行き過ぎる景色は初秋欠けた春夏
故郷の告別式の時刻過ぎカップ麺開け湯気を見つめる
飛ばされた焦燥感のかけらから新たに育つ恐ろしきもの
眠剤と安定剤で暮らす日々真の自分か?まだまだ青い
自らが何もせずとも進行す焦燥感も吹き飛ばしつつ
ジリジリと胃液が胃壁を消化する十二指腸もとろける悲鳴
疲労でも人は死にたり友人の訃報に明日の我が身を思う
問題と目的書くのは最後にす辻褄合わせこれも職人
気がつけばすぐそこにある秋の色かすかに響く師走の羽音
パキシルが痛みと疲れを追い駆けるテレビで見てる観客ひとり
安心を味わうまでのタイムラグワシワシと飯喰う父を見る
一つずつ発車停車を繰り返しそれが近づき車窓が歪む
結局はバス停に着くギリギリの時刻になって家を出る日々
クリックで達成感が満たされるもう消費しか頼れない脳
胃薬と鎮痛剤を流し込むエフェドリンにも頼りたくなる
天井が歪んで見えるドクドクと自信が融け出し布団にしみ込む
気がつけば軽い頭痛と嘔吐感既に会議は始まっている
とりあえずメールを開き詫びを書く電子メディアに託す危うさ
真っ暗な無人の廊下のしかかる天井と壁扉が重い
ひっそりと静まり返る休日の廊下をひたすらうつむき歩く
明日こそは絶対に行く前日の決意を込めた予行演習
ゆるゆるとパーキンソンの母を連れ祖母の右手を思う通院
クリックで達成感が満たされるでも消費しか頼れない脳
朝起きる食事に新聞家事仕事できていたのは多分別人
とりあえず三十一文字に封じても名付けられない残滓が満ちる
CCU横たわる父ニコニコし声は聞こえる嗚呼意味不明!
二度三度聞き返されて縮む声存在すらもノイズに代わる
2メートル傾いた視野フラフラと雑踏の中自我の消滅
チョロQを目で追い笑う父と母笑みをはり付けわたしが拾う
チョロQの動かし方を教えても必ず前に押し出す父
澄み渡る意識に自信久々の高揚感の後の違和感
奥歯噛みベンチに独りどうすればチカラは抜けた?不自由な顔
老父母にわたしの未来がつぶされるかつてわたしがそうしたように
ひたすらに飲み食い続ける懇親会会話が剥がれむき出す自責
グズグズと回る思考できたから良いとは言うが譲れぬ基準
闘病を自存理由が引き止める寄り添い支えそこにある鬱
恐くない出られたできた目も合った快復の自信揺り返しの不安
覚悟して臨み必至で発言す他人にはそう見えない悲哀
人混みはカボチャの群れだ忍び寄る独りの恐怖浅い呼吸(返し)
顔見れば微笑んでしまう義務感にやつれたほほに隠れた恐怖
頑張るなわかるからこそ気遣いに応えねばならぬ矛盾のループ
帰省した時のままの洗濯物ワイシャツ三つ見えない未来
グニグニといたたまれなさを噛み締めつまゆの強張り曲がった背骨
あおい空ほほなでる風何気なく微笑む友も襲い来る夏
徹夜明けヤクザな仕事と苦笑い仮面を重ね独りの渡世(返し)
義務感のかたい決意の目覚ましのかそけき音に沈む後悔
着メロが義理義務仕事と鳴り響き閉じた瞼に浮かぶ悔恨

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